今日はいつもよりも少しだけ真面目で、難しい話題なので、ご興味のある方のみどおぞ。
医療、福祉、教育の現場で働く人は、大切な情報ですので、是非最後までお付き合いくださいね!
昨日は、私が所属している東京臨床心理士会の研修へ、朝から出かけてきました。
研修タイトルは「子育て支援のための法律の知識~児童福祉法改正をめぐって」。
正直、申し込んだときは「法律か~苦手なんだよな・・・でも、勉強しとかないとな・・・」というとても消極的な気持ちでした。
子どもにかかわる仕事をしていると、どうしても法律の事や、国の制度の事を知っておく必要があります。そして、改正されるたびに、勉強のし直し。
いや、私も難しい話は苦手ですよ。
たぶん、どんなに「専門家」として一線で働いている人だって、自分が前線で法律改正の委員会等に参加でもしていない限り、やはり法律の勉強って「To Do」なのではないかな、と私は思っています。
でも、勉強するんです。だって、必要ですから。
今回の研修は、参加してみて、とてもとても有意義で、こんなに法律の事を「きちんと理解できた」と消化した状態で帰宅できたのは初めてではないか、という充実感のあった研修でした。
ブログで、この手の話題をダイレクトに取り扱うのは初めてですが、我がブログをのぞきに来てくださっている方の大半が子育て世代か、それに関連する方であると思うので、記事立てという形でシェアさせていただきます。
今回の児童福祉法の改正。
実は昨年の6月に、すでに、公布・一部施行されています。
10月にまた、一部。
そして今度の4月の施行をもって、改正法の施行が完了します。
講師の弁護士·磯谷文明先生は、児童福祉法や児童虐待防止に関連する、国の専門委員会、審議会等のメンバーをされており、改正の裏でどのような事が話し合われてきたのか、その裏話もふんだんに交えながらお話ししてくださいました。
一つ目の柱:「子どもの権利を第一に」
今回の改正に向けて、専門委員会の中で、大切に話し合われた柱が3つあったそうです。
一つ目は、「子どもの権利を第一に」という子どもの権利保障が中心に据えられたことです。
え?そんなこと、今更?と思われた方、きっと、私だけでないですよね。
子どもの権利を守ろう、という動きは今では当たり前のことであると思っていました。
磯谷先生のお話によると、批准した当時の日本の主張は、“権利条約には賛成しますよ。でも、我が国はそもそも、子どもの権利が侵されているようなこと、ありませんから”というものだったそうです。
でも、その後の定期的な国連の調査により、「いやいや日本さん、そんなことありませんよね。もっとちゃんと考えてください」とのことで、児童福祉や虐待防止に関する国を挙げた取り組みが、より加速していったのです。
今回の改正で、子どもの権利を守ることが児童福祉法の理念として位置づけられ、明文化されたのはとても大きな改正だ、ということでした。
2つ目の柱:地域で家庭を「支援」する
子どもの権利を守るってどういうことだろう?
突き詰めて考えていくと、やはり、元の家庭で心身ともに安心して暮らして行けることなのではないでしょうか。
子どもって、やっぱりお母さんが大好きです。
家族のもとで、当たり前の暮らしが安心して営めることが「子どもの権利」なのだと思います。
じゃあ、その家族を、親を、みんなでちゃんとサポートしましょう。
児童福祉法の中にこの理念がきちんと明文化されました。
私は、これは本当に重要で、大切な改正だと感じています。
虐待死のニュース報道等で、スタジオのコメンテーターから発せられる「信じられない。虐待をする親は悪だ」という嫌悪を込めたコメントは、これからは時代遅れなのです。
そうだ、そうだ、と無責任に同調するテレビの前の人も、です。
それが法律に明文化されているのです。
もちろん、子どもの責任の第一人者は、その親権者、つまり親であることは今までと変わりません(法律の中にもきちんと書かれています)。
でも、親たちが子どもの権利を守り、子どもの命を守りながら、家族としての機能を作り上げていくサポートを、住んでいる地域皆で、支え見守りましょう。
これからはそういう時代という事が、きちんと法律の中に書かれた。これはとても大きな改正なのではないでしょうか。
具体的に、どういうことをしなくてはいけないのか。
医療・福祉・教育に関係するお仕事をされている方には、具体的にやらなければならないことが「努力義務」として法律に明文化されましたので、しっかり勉強しましょうね。
長くなるので、ブログでは割愛します(気になる方はコメントください♪概要や読むべき条文をお伝えすることくらいはできますので^^)。
3つ目の柱:職員の専門性の確保・向上と配置数の増加
これについては、法律の中に書かれた、というよりは、法律改正を進める上で、とても大切に議論されたポイント、というニュアンスで理解してください。
法律改正の動きに伴って、児童福祉の現場で新たな動きがいくつも出ているそうです。
全ての児童相談所に常勤弁護士を!
特別区全てに児童相談所を!(特別区ごとの児相設置は今回の改正で明文化されたので、今後急ピッチで設置が進むと思います。東京23区は殆どの区が設置に向けて今急ピッチで準備中です。)
ただでさえ、現在児童養護施設や児相の一時保護所は常に満員。
スタッフ数は変わらないのに、問題が複雑化し、難しく、より専門的なケアの必要があるこどもたちが沢山入所してくる。
24時間体制で子どもたちの暮らしを守らなくてはいけない、精神的にも体力的にも過酷な仕事が施設の職員さんたちの現状です。
児童相談所も、「動きが悪い」とバッシングの対象となりやすいですが、中で働いている人たちは、毎日管轄区域中を飛び回って、みんな必死で働いています。
ある調査で児童相談所の職員のうち、経験年数3年未満の方が半数以上という現状が見えてきたそうです。
増やすのはいいけれど、人手が足りないよ。専門性も足りないよ。という現状。
これは保育園の保育士さん然りの問題ですね。
ここをどうにかしないといけない、という問題意識を、国の中心にいる人たちがしっかりもって考えてくれている、ということがとても心強く感じました。
以上。
昨日学んだことを、忘れないうちにダダーっと書かせていただいた、写真も何もないこんなブログを、最後まで読んでくださり感謝いたします!
得た知識を、きちんと消化し、目の前の子どもたちや、家庭に、どう返していけるのか。
私自身もしっかり向き合いながら、日々のお仕事に向き合いたいと思います。
詳しく知りたい方は下のリンクらから全文読むことができますのでどうぞ。