私は現在、幼稚園と小学校でカウンセラーのお仕事をしています。
もともと、障害のある子どもたちへの指導や、先生方へのアドバイスが中心の仕事をしていたため、「カウンセリング」という仕事は、今やっているのが初めての経験。
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ちょっと、イメージしにくいかもしれませんが、「アドバイス」や「指導」と「カウンセリング」は相反する行為です。
いわゆる「カウンセラー」は、カウンセラー発の言葉をほとんど発しません。
話すのはクライエント。
カウンセラーは「聴く」人。
「聴く」という、一見受け身的な行為の中で、相手の話の波に乗りながら、そっと問題に焦点を当てていったり、ご本人が話しながら、解決の糸口を探していけるよう寄り添う事。
それがカウンセラーの仕事です。
「臨床心理士」と聞くと、一般的にはどんなイメージを持たれているのでしょうか?
心の専門家?
曖昧です。苦笑
以前働いていた職場では、上司に「いや~ナナホシさんと面と向かっているとやりづらいよ~だって、心の中、わかっちゃうんでしょ」と言われたことがあります。苦笑
いやいや、分かりませんから。苦笑
エスパーや超能力者じゃあるまいし、臨床心理士は心読めません。苦笑
もともと「アドバイス」「指導」といった、どちらかというと積極的な介入がメインの仕事をしていたため、「カウンセリング」は、本当に、本当に難しいと、仕事に行くたび痛感しています。
まだまだ心理士として未熟な私。
ただ、必死に「カウンセリング」の仕事をしようと、たくさんのお母さんたちの悩みに耳を傾けるうちに、「子育てを支える」ために、いかにカウンセリングの要素が大切か、感じるようになってきました。
「黙ってひたすら聴いてもらえる」ということ
私自身、現在子育ての真っ最中。
今の仕事を頂いたときは、2歳の長女と7か月の次女の育児に、それはそれは必死に毎日を駆け抜けていた事を思い出します。
初めて携わる、幼稚園のカウンセラーという仕事。
仕事の中心は、お母さん方の子育て相談です。
4歳、5歳の子どもたちの通う幼稚園ですから、ママ歴としては、私よりも先輩方の悩みの相談に乗ることになります。
始めたばかりのころは、まだアドバイス癖が抜けていませんでしたから、相談されたら、何か役立つアドバイスをしなくてはいけないと、毎回必死でした。
「まだ子育てのひよっこで、自分もうまくいかずに悩んでいる私が、お母さん方の役に立てるのだろうか」と、本当に申し訳ない気持ちになることもたくさんありました。
必死に模索する中、ある時ふと考えたのです。
もし、自分がお母さん方の立場だったら、カウンセラーに何を言ってもらいたいだろう?
こんな仕事をしていると、さぞ素晴らしい子育てをしているのだろう、と周りから思われることが多々あります。
逆に、普段の私の「お母さん」ぶりを知っている人には、口が裂けても自分がカウンセラーをやっているなんて言えませんでした。苦笑
子どもにどんなふうに関わったらいいか、声をかけたらいいか。
正解は、知識は、知っているのです。
でも、知っていてもできない!!理想と現実は違う!!!
いつも思っていました(今でも時々思います)。
私自身、児童館の先生の前で泣きながら相談したこともありました。
随分、精神的に支えられて、本当に感謝しています。
でもね、私があの時してもらいたかったのって、ただ、ただ、私の話を「うんうん」って聞いてほしかったな、って思ったのです。
もちろん、相談すれば、最初は聞いてもらえますよね。
それは、幼稚園の先生だって、児童館の先生だって、夫だって(笑)、聞いてもらえます。
でも、すぐに、「こうしてみたらいいんじゃない?」のアドバイスもセットでもらえます。
これは、「頼られたら、何かしてあげなくては」という、人間の心理として、ある意味当然のことなので、アドバイスをとやかく言うつもりはありません。
ただ、分かっているのにできなくて、苦しくて、自分が本当にダメな母親な気がして、助けを求めているときに、「正解」をアドバイスされることのダメージは、予想以上なのです。
自分自身の子育てを振り返ったとき、私の行きついた答え。
それは「黙ってひたすら聴いてもらえる」という安心感が、「子育て」を支える大切な大切な役割だということ。
健康な心は自分で答えを見つける力を持っている
このことに気づいてから、カウンセリングの仕事がとても楽しくなりました。
「楽しい」というと語弊があるかもしれませんが、私自身が、毎回、毎回、色々なお母さんとの出会いからたくさんの事を学ぶ、心の余裕ができたな~と思います。
本当にたくさんの方の、色々なお話を聴いてきました。
時には、「自分の悩みか!?」と思うくらい状況が同じで、ついつい「わかるわ~」とママ友トークしそうになる自分にブレーキをかけながら、カウンセリングモードでひたすらお話を「聴く」ことも。
聴いて、聴いて、聴いていく。
途中で涙を流される方も大勢いて、その涙を、裏にある苦しさを一緒に抱えながら、それでもひたすら聴いていく。
そうするとね、不思議な事に、大半の方が、たった30分前後のお話の中で、何かしら自分で答えを見つけて帰られます。
アドバイスしなきゃ、と意気込んでいた時よりも、スーッと、話が解決に向かうことがとても多いのです。
ああ、皆さん、ちゃんと自分の中に良い力や、いい方法を持っていらっしゃるんだな。
「カウンセラー」という相手に向かって、内側でグルグルと渦巻いている言葉を吐き出しながら、一緒に整理をしていけば、ご自身の中に埋もれてしまっていた解決策に、自分で気づくことができるのだな。
子育て中において、時には的確なアドバイスが必要になるときはあります。
はっきり「こうした方がいい」と言ってもらった方が、気持ちが楽になるときも多いです。
でも、それすら受け止められないくらい、一人で試行錯誤・悪戦苦闘している時も同じくらいあるのです。
そんな時は、ただ黙ってひたすら聴く。
カウンセラーのような役割をしてくれる人が身近にいたら、子育てをもっと肩の力を抜いて楽しめるようになるのではないかな。
そんな風に思うのでした。
カウンセラーとしてまだまだ半人前の私が熱く語った独り言。
今日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。